北海道経済を支えた銀行が資料館に「日本銀行旧小樽支店金融資料館」

日本銀行旧小樽支店金融資料館の歴史

「日本銀行旧小樽支店金融資料館」とは、その名の通り、もともと日本銀行の小樽支店として機能していた建物です。
19世紀から20世紀への世紀の転換点、小樽市は北日本の商業の中心地として発展しており、多くの銀行が集中していました。
やがて小樽の銀行街は「北のウォール街」とも呼ばれるようになり、そういう状況で日本銀行も支店を出すことにしたのです。

建物の設計は、東京駅の設計者としても有名な辰野金吾、長野宇平治、岡田信一郎らが担当、1912年に竣工しました。
日本銀行小樽支店としての営業は2002年で終了しましたが、その後は金融資料館として利用されています。
貴重な金融資料を数多く展示しており、今でも日本銀行の広報機関として機能しています。

日本銀行旧小樽支店金融資料館の魅力

日本銀行旧小樽支店金融資料館は、建物自体に大きな魅力があります。
煉瓦造りの2階建てで、その石造り風の外観はまさに大正ロマンを感じさせる建築スタイルです。
北側正面にはドームが4つあり、側面には小樽港を一望できる望楼まで設置されています。

建物内も魅力に溢れています。
建物の入り口を抜けると銀行窓口がありますが、それは明治時代から使われていたそのままの形です。
見上げると天井がとても高いことに気づきますが、その高さは10.5メートルもあります。
非常に広い空間に展示スペースが3つ配置されており、それぞれのスペースで日本銀行の歴史や業務内容を学ぶことができます。

日本銀行旧小樽支店金融資料館の見どころ

見どころは「金融資料館」ともいうように、ズバリ金融に関する展示です。
実際、お金についての資料がたくさんあります。
まず入口のすぐ裏手にはお金の歴史が学べる展示があって、現在に至る日本の金融システムがどのように確立されてきたのかなどがわかりやすく学べるようになっています。

そういう難しいことは興味がないという人にもおすすめなのが、紙幣の展示室です。
ここには明治時代発行の古い紙幣から現行の紙幣まで、すべて展示されています。
聖徳太子や板垣退助などの紙幣は今では骨董品のように思えますが、どれも実は今でも実際に使用可能です。
また、紙幣の展示と同時に、どのように偽札対策をしてきたかといった偽造技術の歴史も学べるようになっています。

金融資料館内には金庫もあって、1000億円のレプリカがあるのが一つの見どころです。
レプリカですが、実際に1000億円もの札束がどのぐらいの量になるのかがイメージできます。

1000億円はレプリカですが、本物の1億円が館内にはあります。
ただし1億円とはいっても、細かく裁断されて使えなくなっています。
ケースに入れて展示されているため直接触わることはできませんが、1億円ものお金を自分の目で実感できる良い機会です。