開拓時代の面影を残す「旧黒岩家住宅」

旧黒岩家住宅の歴史

旧黒岩家住宅は、札幌市南区簾舞一条2丁目にある歴史的な建造物です。
現在も札幌市街地から簾舞、定山渓にかけて旧国道230号線が通っていますが、これは「本願寺道路」とも言います。
かつて本願寺の信徒たちによって開通工事が行われたからです。

この本願寺道路が開通したのが1871年なのですが、その翌年に旅行者の休憩や宿泊のために作られたのがこの旧黒岩家住宅です。
その名の通り「黒岩清五郎」という人が簾舞通行屋として選ばれたのでした。

しかし、簾舞通行屋は旅行者が減ったためその後廃止されます。
廃止されてからしばらく、1887年には定山渓に至る新しい道路が開通しました。
それを機に、黒岩家は通行屋としての建物を現在の場所に移築しました。

その後も引き続き、黒岩家がこの建物を管理しています。
簾舞地区の中心として、学校や役場、集会所としても利用されてきました。

黒岩家は1982年に新築した別の家に引っ越したので、今は住居として使われていません。
その代わり、1985年に当時の姿に復元され、簾舞郷土資料館としてオープンしました。
その後、さらに増築し、通行屋としての姿が再現されて今に至ります。
開拓当時の農家によく見られた間取りを始め、納屋や小屋なども備えています。

旧黒岩家住宅の魅力

旧黒岩家住宅は、札幌市内に残る最も古い開拓農家住宅です。
札幌開拓の歴史を今に伝える貴重な建造物ですので、その姿を見るだけでも歴史好きの人にとっては大きな魅力を感じるのではないでしょうか。

内部は資料館としても機能しており、地域の歴史を残す資料や写真、道具類などが多数展示されています。
現在も黒岩清五郎の子孫の黒岩さんがこの資料館の管理人を務めています。
敷地内の案内なども気軽に応えてくれるでしょう。
観覧は無料ですので、お近くにお立ち寄りの際はぜひ足を運んでみてください。

旧黒岩家住宅の見どころ

札幌開拓の歴史が伺えるという点だけでも、旧黒岩家住宅には大きな魅力があります。
歴史や古い建造物に興味がある人にとっては、ここだけでも十分な見どころでしょう。

しかし、実はこの一帯には見どころがほかにもたくさんあります。
この簾舞地区は、札幌中心部から定山渓へといたる道中にあって、観光客は通り過ぎるだけで、あまり立ち寄る場所ではありません。
そのため、札幌市民以外にはあまり知られていないのですが、実は観光や散策にもぴったりの穴場的なスポットなのです。
近くには小金湯温泉がありますし、豊平川と簾舞川の向こうは鬱蒼と茂る山が広がっています。

近くには頂上の形が独特な「八剣山」という山があり、登山客にも人気です。
山に入るならクマに注意しなければなりませんが、せっかくここまで来たのなら、旧黒岩家住宅だけでなく八剣山登山を始め付近の散策をおすすめします。