北海道・北東北の縄文遺跡群

北海道・北東北の縄文遺跡群の概要

令和3年に「北海道・北東北の縄文遺跡群」がユネスコ世界遺産委員会によって、世界遺産として指定されたことをご存知でしょうか?
北海道や東北地方北部の青森県・岩手県・秋田県にはすでに世界自然遺産として登録されている白神山地や知床があり、日本有数の自然が豊かな場所として知られています。

縄文時代においても、当時の人々はこの地域で豊かな自然の恵みを活かして生活していました。
そのことを今に伝えるのが、北海道・北東北の縄文遺跡群です。

歴史を伝える北海道・北東北の縄文遺跡群の特長とは?

北海道・北東北の縄文遺跡群の特長は、大きく分けると2つあります。
まず1つ目は、この遺跡群を調べることによって縄文文化が発展していった様子が分かるところです。
縄文時代より以前は獲物を追いかけながら住む場所を点々と変えていましたが、この遺跡群を調べると同じ場所で村を作って共同生活していたことが分かります。
このように定住することによって美しい形の土器や漆器、天体の動きを反映したお祈り施設といった縄文文化を花開かせていったのです。

次に2つ目は、この地域に住んでいた人々が自然環境の変化に合わせて生活していたことが分かるところです。
遺跡群から発掘された貝や魚、木材や花粉を調べてみると、過去1万年の間にこの地域では気候や環境が大きく変化してきたことが分かります。
しかし、縄文人はその時の環境に合わせて使う道具を変えるなどして柔軟に対応してきました。

つまり、縄文人は村の仲間と知恵を出し合い、何世代にわたって知識を蓄えて自然の恵みを最大限に生かす方法を考えながら乗り切ってきたことが分かるのです。
なお、自然破壊は最小限に抑えていて、豊かな自然と共生する見本としても世界中から注目を集めています。

なぜ世界遺産に指定されることになったの?

縄文時代の生活が分かる遺跡は、北海道から沖縄まで日本各地で発見されています。
しかし、なぜ北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産に指定されたかというと、北海道と東北地方北部に遺跡が集中しているだけでなく、それらの保存状態が極めて良かったからです。
また、北海道と東北地方北部は津軽海峡によって阻まれているのに関わらず共通の文化圏を作り上げていたことについては、さまざまな想像力がかき立てられます。
しかも、遺跡群における各地で集落や貝塚、墓、祭祀場といった縄文文化の象徴である要素が確認されているため、縄文文化について検証する際に欠かせない遺跡となっているのです。

私たちは北海道・北東北の縄文遺跡群について知ることから始めなくてはなりません。
また、これらの価値を世界中の人に知ってもらえるように世界文化遺産になることを目指す取り組みを応援したいものです。