札幌における雪との付き合い方

除雪とは

札幌では、冬には道が雪で覆われます。
雪で道が覆われると交通の邪魔になりますので、積もった雪をどかさなければなりません。
それを一般的に「雪かき」などと言いますが、札幌での雪かきには、おもに「除雪」と「排雪」という異なる方法を用います。

除雪とは、文字通り道路の雪を除けて道路脇に寄せることを指します。
札幌市では、ある程度の道幅のある道路を除雪機械によって除雪するのが一般的です。
雪の程度にもよりますが、積雪が10センチ以上になると、深夜から早朝にかけて除雪機械を出動させて雪を道路脇に寄せます。
「除雪ドーザ」という専用の重機を使って札幌市内一斉に除雪作業を行うのが冬の恒例です。

排雪とは

排雪とは、道路脇に雪を寄せる除雪と違い、トラックなどによって雪を別の場所に運んで捨てる作業を指します。
除雪作業によって道路脇には雪がうず高く積み上げられますが、交通の妨げとなるためそのまま放置することはできません。
積み上がった雪はトラックによって雪堆積場と融雪施設に運ばれます。

この作業も市が行いますが、たくさんの人手と機械が必要なので、すべての道路の排雪を行うことはできません。
そのため、通学路や幹線道路など一部の道路に限定されます。

排雪作業では、まず除雪ドーザやバックホーという重機によって道路脇に積み上げられた雪山を崩し、それからロータリー除雪車がその雪をトラックの荷台に積み上げます。
雪を積んだトラックは、市内にある雪堆積場や融雪施設に行って雪を捨てるという流れです。
たくさんの機械を使って行う作業ですので、排雪作業はなかなか進みません。
1日中作業しても進むのは2km程度です。

雪堆積場と融雪施設

雪堆積場とは、運んできた雪を置いておく場所です。
川沿いなどの広い土地に雪を積み上げておき、自然に溶けるのに任せておきます。

ただ、年々札幌市内は開発が進み、雪堆積場として使用できる土地は昔に比べて多くありません。
雪が溶けると水になるため、その処理がしやすい場所である必要がありますし、トラックのような重機が行き来するためその騒音や振動などによって住民の生活に支障が出ないように配慮する必要もあります。

そこで、多くの堆積場が作れない札幌都心部では、融雪施設という雪を入れる水槽のような施設を何か所かに作っています。
これは単なる水槽ではなく、雪を入れた槽に下水の水を流して溶かします。
下水の温度は13~15℃程度ですが、雪を溶かすのに十分な水温です。

融雪施設は札幌市内に9箇所あります。
札幌駅の北側地下も実は融雪槽となっています。
正確には「都心北融雪槽」と言って、おもに夜中の車などがない時間帯にトラックによって雪が次々と運び込まれているのです。

観光に訪れただけでは、なかなか排雪作業を目にする機会はありません。
もし真冬に札幌に来ることがあり、夜中に外に出ることがあれば、重機を使った大掛かりな除雪や排雪作業を見れることもあるでしょう。